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お知らせ

令和8年度 伊藤學賞・技術功労賞・技術功労特別賞の受賞者決定

 わが国の鋼橋技術の進歩・発展に貢献・寄与された方を称える「伊藤學賞および技術功労賞」の受賞者が、以下のとおり決定しました。
 表彰式は令和8年10月2日(金)開催の当協会東京地区「橋梁技術発表会(銀座ブロッサム 中央会館 ホール)」にて行ないます。

伊藤學賞:森 猛 氏

法政大学 名誉教授


森猛氏は、1982年に東京工業大学工学部土木工学科助手として採用されて以来、40年以上にわたり鋼橋をはじめとする鋼構造物の疲労、安全性および維持管理に関する研究に従事されてきました。道路橋における疲労設計荷重の評価に早くから取り組み、交通流シミュレーションを用いた合理的な疲労設計荷重の提案を行うとともに、溶接継手の疲労強度評価や溶接止端部の仕上げ・ピーニングなどによる疲労強度改善技術に関する研究を推進されました。これらの成果は、『鋼道路橋の疲労設計指針』、『鋼構造物の疲労設計指針』および『道路橋示方書』などの基準類に反映され、我が国の鋼橋の疲労設計および耐久性向上技術の発展に大きく貢献しました。また、疲労き裂の補修・補強技術、鋼床版の疲労問題、高力ボルト摩擦接合継手の強度評価など幅広い研究成果を挙げられ、その業績は土木学会論文賞、日本鋼構造協会論文賞など数多くの受賞によって高く評価されています。

鋼橋事業の発展への貢献としては、鋼構造物の維持管理技術の向上と技術者育成に果たした役割が特筆されます。鋼橋などの維持管理に携わる技術者の資質向上を目的として創設された「土木鋼構造診断士」資格制度においては、制度設計から運営体制の構築まで中心的な役割を担われました。同制度は現在、国土交通省が認定する技術者資格として広く活用されており、鋼橋をはじめとする社会基盤施設の適切な維持管理に大きく寄与しています。さらに、国土交通省、高速道路会社、鉄道事業者などの委員会において技術的助言を行い、鋼橋の安全性向上と長寿命化に貢献されました。

土木学会、日本鋼構造協会、日本道路協会、国際溶接学会(IIW)などにおいて委員・委員長を歴任され、鋼構造分野の研究・技術開発の推進と学協会活動の発展に尽力されました。特に、『高力ボルト摩擦接合継手の設計・施工・維持管理指針(案)』や『鋼床版の疲労』など、実務に広く活用される技術資料の策定を主導し、鋼橋技術の普及と高度化に大きく貢献されました。

また、法政大学において長年にわたり構造工学・鋼構造学の教育・研究に携わり、多くの学生を橋梁・鋼構造分野へ輩出されました。大学退職後も講演会や技術講習会、各種委員会活動を通じて後進の育成に尽力され、鋼橋技術者の育成と技術継承に大きな役割を果たされています。

このように、長年にわたる研究と実績を通じて、鋼橋の疲労設計、維持管理ならびに耐久性向上技術の分野において顕著な業績を築かれ、日本の鋼橋技術の進歩・発展に多大な貢献を果たされました

森 猛氏

技術功労賞:中嶋 浩之 氏

株式会社巴コーポレーション 技術開発推進部長


中嶋浩之氏は、1986年の入社以来約40年にわたり鋼橋の設計・施工技術の発展に携わり、我が国の橋梁技術の高度化と鋼橋分野のDX推進に大きく貢献されました。

業務面では、国内最大規模となる鋼2主桁複合ラーメン橋において、鋼コンクリート上下部剛結構造の構造検討や、世界的にも例のないジャッキアップ回転架設工法の実用化検討に中心的役割を果たされました。また、長支間複合ポータルラーメン橋の剛結部設計・施工に関する検討や、面外ガセット溶接継手の疲労強度向上に関する研究など、多くの先進的な技術開発に携わり、鋼橋技術の発展に寄与されました。さらに、建設省土木研究所への出向時には、阪神・淡路大震災を踏まえた道路橋示方書の改定に関わり、橋脚アンカーフレームの耐震性能評価手法の整備に貢献されるとともに、維持管理負担の軽減を目指した「ミニマムメンテナンス橋」の提案を行うなど、橋梁の長寿命化とライフサイクルコスト低減にも取り組まれました。

日本橋梁建設協会においては、設計小委員会委員、同小委員長、同東日本部会副部会長を歴任されるとともに、橋梁年鑑WGリーダーとして10年にわたり業界基盤資料の整備に尽力されました。また、平成29年道路橋示方書改定に際しては、日本道路協会の部分係数設計法WG幹事を務め、新たな設計法の導入と普及に大きく貢献されました。

近年は、日本橋梁建設協会DX推進小委員会BIM/CIM推進WGリーダーとして、鋼橋自動設計システムと原寸システムのデータ連携検討を主導されました。さらに、2023年の日本橋梁建設協会と建設コンサルタンツ協会による「橋梁技術のデータ連携実装に向けた共同宣言」の実現に尽力するとともに、その後のデータ連携活用検討WGにおいても業界横断的なデータ連携の実装と3次元モデル活用の推進に取り組まれました。これらの活動は、設計情報のデジタルデータを施工段階へ円滑に連携し、業務効率化と品質向上を実現するものであり、鋼橋分野におけるDX推進の重要な礎となっています。

以上のとおり、中嶋氏は鋼橋の設計・施工技術の発展、維持管理技術の高度化、さらには橋梁分野のDX推進を通じて、我が国の鋼橋技術の進歩・発展に極めて大きな役割を果たされました。

中嶋 浩之 氏

技術功労特別賞:大下 嘉道 氏

三井住友建設鉄構エンジニアリング株式会社 建設本部西部工事部主管


大下嘉道氏は、1972年の入社以来50年以上にわたり橋梁建設事業に携わり、橋梁架設技術の発展、安全施工の推進および技術者育成に大きく貢献されました。数多くの橋梁工事において現場代理人および架設計画立案等を担当しました。また、送り出し架設工法に用いる「引張ボルト方式手延べ機」の開発において中心的な役割を果たし、その成果は現在の橋梁架設技術にも受け継がれています。

日本橋梁建設協会では、1995年より現場施工積算部会委員として活動を開始し、2007年から架設部会委員、2011年から2020年まで架設小委員会委員長を務められました。その間、架設工事に関する技術指針や審査基準等の整備・改定を主導し、架設技術の向上と施工品質の確保に大きく貢献されました。また、登録橋梁基幹技能者講習委員長として講習制度の運営と充実に尽力し、橋梁建設現場を支える技能者の育成と技術継承に重要な役割を果たされました。

さらに、事故防止対策検討特別委員会幹事長ならびに安全委員会幹事長として、労働災害防止に向けた各種施策の立案・推進、安全施工に関する指針の策定および改定に携わるとともに、関係発注機関との安全協議や意見交換にも積極的に参画されました。また、委員会活動を通じて事故防止対策の普及・定着を図り、橋梁建設業界全体の安全水準の向上に尽力されました。これらの活動は、橋梁架設工事の安全確保のみならず、協会活動の活性化と業界の信頼性向上にも大きく寄与するものとなっています。

加えて、長年にわたり日本橋梁建設協会において委員長・副委員長・幹事長として委員会運営の中核を担い、多くの技術者・技能者に対する指導や助言を行うなど、後進の育成にも力を注がれました。その豊富な経験と卓越した見識は協会内外から高い信頼を集めており、橋梁建設業界の発展に大きな足跡を残されています。

以上のとおり、大下氏は橋梁架設技術の発展、安全施工技術の向上、人材育成および協会活動の推進を通じて、我が国の橋梁建設技術の進歩・発展に極めて大きな役割を果たされました。

※技術功労特別賞は、技術功労賞の趣旨を踏まえ、同賞を補完する顕彰制度として新たに設けられた賞です。

大下 嘉道 氏

【問合せ先】

一般社団法人日本橋梁建設協会 事務局

TEL.03-3507-5225 FAX.03-3507-5235