ご挨拶
この度、川畑前会長の後を受けて、一般社団法人日本橋梁建設協会会長を務めさせて頂くことになりました、川田でございます。会長就任にあたりまして皆様にご挨拶申し上げます。
昨年は、国際社会においても国内においても、不透明かつ混迷の度合いがより一層深まった一年でした。世界情勢においては、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に加え、中東地域での紛争が激化しています。経済面では、米国経済が堅調さを維持する一方、主要国において、保護主義や自国第一主義の台頭が再び注目されるなど、企業を取り巻く環境は一層の不確実性を帯びています。
国内においては、本年が阪神・淡路大震災から30年の節目を迎える中、東日本大震災、熊本地震、昨年の能登半島地震と度重なる大規模地震に見舞われてきました。また、昨年8月には「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表され、防災意識や事業継続計画への関心が一層高まってきています。更に、労働力不足や物価高騰、持続可能な社会保障制度の構築、環境問題など我が国が直面する課題は依然として山積しています。経済は、緩やかな回復基調にあるものの、物価上昇や原材料・エネルギー価格の高騰、賃上げが進むなど構造的な課題も顕在化してきています。
このような厳しい環境下において、鋼橋をはじめとするインフラは、我が国の経済、社会面における持続的な成長、安全・安心で豊かな国民生活、地域創生に極めて重要な役割を果たしており、その効率的・効果的な整備、維持管理、防災機能の保持と災害時の早期復旧、率先した脱炭素化等に対して、当協会として全力で取り組んでまいる所存でございます。
現在、当協会が直面している主な課題としては、「鋼橋事業の需要拡大」「担い手の確保」「DX・GXへの対応」「現場事故の撲滅」および「海外展開の推進」が挙げられます。これまでに、当協会では「提案する橋建協」として、災害に強く、カーボンニュートラルにも貢献する「ピアレス橋」、「オフセット橋」、「アクロス橋」などを積極的に提案し、発注者の皆様から一定のご理解を得てきました。
他方、公共投資としての鋼橋事業は、発注予算ベースでは堅調に推移しているものの、資材費や人件費の高騰により、重量ベースでは過去最低を更新しており、業界を取り巻く環境は一層厳しさを増しています。本年度からは、これまでの活動に加えて「鋼橋事業の需要拡大」を最重要課題と位置づけ、「需要拡大戦略特別委員会」を新設し鋼橋の魅力や必要性・優位性等について、改めて深堀し、そのメリットを明らかにするとともに、広く関係機関等へ訴え、鋼橋事業の積極的な活用を推進していきます。
加えまして、労務単価の持続的な上昇と適切な支払いの確保、原則週休2日の工程確保、時間外労働時間の削減などの取り組みについて、昨年成立した第3次担い手三法に基づき、現世代と次世代の働き方改革を推進します。特に、当協会では若手を中心とした戦略広報ワーキンググループを組織し、SNS等を活用して、鋼橋の魅力や橋づくりの楽しさなどを次世代に発信しており、担い手確保のための取り組みについても、今後も一層の強化を図っていきます。
また、IT技術等を活用したi-Bridgeの更なる推進、昨年より建設コンサルタンツ協会様と一緒に開始した設計・施工間プロセスのデータ連携の活用の拡大などのDXの推進、再生可能エネルギーの積極的な活用、脱炭素化に資する新材料や新技術の導入などのGXの推進について、関係する皆様と協働して推進してまいります。
更に、鋼橋工事において死傷者を出さない「現場事故の撲滅」の取り組みを更に強化するとともに、国内市場と相反してインフラ需要が旺盛な海外市場へは、我が国が培ってきた高度な鋼橋の技術力を活かした「質の高いインフラ輸出」を推進していきます。
以上の協会活動を着実に進めていくには、会員の皆様のご理解とご協力が不可欠でございます。皆様からのご意見を拝聴しながら、会長としての責務を果たして参る所存ですので、今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
一般社団法人 日本橋梁建設協会
会長 川田 忠裕

橋建協 五つの誓い
私達は、皆さんが身近に親しむ橋の建設を通じて、社会に貢献していきます。
橋がつなぐ、
みんなの未来。
「街と街・人と人をつなぐ橋」
で社会生活・経済活動を支えます
永年にわたって培ってきた優れた技術で、皆さんの生活および
産業の経済活動を支える社会資本の一つである橋を建設し、社会に貢献しま
「丈夫で長持ち・夢のある橋」
をつくります
地域のために役立つ安全で優美な橋を提供します。
また、地域の日常生活を守るため、橋梁のドクターとして橋の健康管理を行い、100年橋梁を目指します。
「橋の文化」
を大切にします
橋に関連した、日本および地域の文化の保護と未来への伝承に努めます。
「世界をむすぶ橋」
を架けます
日本の優秀な建設技術をもって、海外の建設プロジェクトに積極的に参画し、
現地の文化・慣習を尊重し、心の触れ合いを大切にした国際貢献を行います。
「地域の皆さんの安全・安心」
に寄与します
不慮の災害や震災発生時には、地域の皆さんの安全・安心、交通確保のために、
会員各社が力を合わせ、橋の復旧活動や応急橋の建設に取り組みます。
会員は、公正・透明・誠実な企業活動を通じ、
明るい未来と夢の実現に向けて、下記のことを実行します。
1.安全・安心な街づくり
「丈夫で長持ちする橋」を建設し、災害に強い、安全・安心 に生活できる街づくりとともに、橋の長寿命化を図り、
優れた橋梁を次世代に引き継いでいくことに努めます。
2.品質の確保
世界に誇る最先端技術と永年培ってきた技能の伝承・研鑽 をはかるとともに、新技術・保全技術の開発に取り組み、品質の確保に努めます。
3.環境保全活動
未来の地球、地域住民の生活環境と自然環境を守るため、 工場・現場における環境の保全に努めます。
4.人材の育成
優れた橋梁技術を次世代へ継承するため、経験豊富な人 材を大切にするとともに、若い優秀なエンジニアを育成して、魅力ある企業の実現を目指します。
5.地域とのふれあい
より広く社会との絆を築くため、見学会の開催やイベント 参加を通じて、地域の方々と心の交流を深めていきます。